「あれ」「それ」はいったい何だったの?
先日、クライアントさんとの打ち合わせのとき。
「音声入力しているライターさん、何人かいるみたいですよ」という話をしていて。
クライアントさんの一致した意見は「1人のときしかできねーな」ということでした。
確かに、人前ではちょっとできないかも。
会社で他の人がやっていたら「その文章、違うだろ」と思わずツッコみたくなっちゃう、というのもあるそうで。
あともうひとつ問題になったのは、指示語の問題。
私との打ち合わせのときに、「これがこうなっているから、こうしようと思ってるの」という話をしておられて。
「こっちだけの話ですみません」と言っていただいたのですが、面と向かって話ができるのだったら、身振り手振りを踏まえて話すほうが早かったり、わかりやすかったりすることがありますよね。
そのときは、事前の私とその話をしていて、後から入ってきた方にそのことを説明をしていただいた流れだったので、「こうしよう」が何を指しているか、私にもわかったのですが。
クライアントさんによると、インタビューを記事にするということもあるようです。
そのときは、インタビューを録音しておいて、それを文字起こししてもらうそうです。
そしてあがってきた原稿に「あれが、これが」とそのまま表記されているので、後で見て「あれってなに?これってなによ?」となるそうです。
確かに、インタビューで聞いているときは話の流れとか、身振り手振りで通じているんでしょうけど、それを文字として起こすと、とたんにわからなくなるんでしょうね。
私もブログ書いているときに、よく「そうしたら」とか「そういう時に」とかよく使います。
でもこれって後で読み返すと、その「そう」がなにを指しているかぼやけていることが結構あるんですよね。
書いているときは夢中で書いているので、前の流れをくんでいるつもりなんですけど、文字にして、後で読むとなると、話が通じないことが多くて。
なので、「それ」とか「あれ」って文章にするときは結構気をつけなければならないかもしれません。
記事の離脱者を防ぐには、読むときに考えさせないものがいい、という記事を書きました。
指示語もその1つでしょうね。
「それ」「あれ」とでてきたときに、それがなにを指しているかすぐにわからないようでは、記事を読んでいる人には不親切なのかもしれません。
それが文章を書く難しさでもあるのだと思うのです。
饒舌に話すことができる人が、必ずしも文章が上手であるとは限りません。
どちらかというと私もそちら側の人間でしょうね。
話すのは上手ではないですが、長々と話をするので、聞いているほうは「いつになったら話が終わるのか」と思っているかもしれません(笑)
ですが、文章をそれだけ長く書くことは難しくて。
それは私が同じことを繰り返してしまっていたり、「それはね、あれはね」といって話をつなげることをしているからだと思います。
文章にして読み返せば、どんどん削られていく部分ですからね。
クライアントさんの話から少しずれてしまいましたが、やはり話す言葉を文章にするのは難しいなぁ、と思いました。
でも、音声入力をしているmackyさんによると、記事を全部書くわけでなく、メモのように短文を記録していくのがコツのようです。
なるほど、そういう使い方をすれば、話し言葉にならず、文章としてなりたったものを話すことができそうですね。
確かに小説家さんでも思い浮かんだアイディアを録音しておく方がおられると聞いたこともあります。
音声入力をするのはタイピングの手間を省く、というより、思い浮かんだ文章を書きとめるメモのようなもの、と思っていたほうがいいかもしれません。
クライアントさんのインタビュー記事は、読んでも不自然さを感じないので、きっと「あれがこれが」を必死に思い出して、置き換えておられるのでしょう。
これからは動画撮影にしたらどうですか?と思いつつ、それはそれで緊張して、不自然なインタビューになってしまいそうにも思います(笑)
【ライターおやかた】