自宅介護をするなら在宅ワーク。その選択は大丈夫?
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私の周りはまだまだ子育て世代が多いのですが、在宅ワークをしていただいている同年代の方からは「親の介護が・・・」という話も聞こえてきます。
自宅介護をするために在宅ワークをしよう、と考える人もいるようですが、その決断は慎重に行うべきかもしれません。
『介護』を理由に在宅ワークを辞める人
私はライターさんの募集をしていますが、お仕事を始めてもらうときには意外と理由を聞くことはありません。
テストライティングをしてもらい、その記事がよければ早速お仕事を開始してもらう、ということがほとんどです。
しかし、辞めるとなると、それなりに理由をお知らせいただくことがあります。
その中で「介護が大変になってきたので」ということをお聞きすることも多いのです。
それまでも介護をしてきたけど、とても在宅ワークをする時間がなくなってきたので、ということのようです。
それまでは「寝てる間などのスキマ時間をうまく利用すればできるのでは?」などと思っていたのですが、自分にその事態が降りかかるとよくわかります。
時間の問題だけではないのが、介護の難しいところだな、と。
気がつくとどこかへ出かけてしまう、家の中でも常になにか探したり、突拍子もないことをしようとするので、気が休まらない。
また暴言や暴力を伴う認知症もあるので、そうなるとメンタルがやられてしまって、「時間があるから、さあ仕事をしよう」とはなれないようです。
先日読んだ記事。
ここまで割り切れるのであればよいですが、なかなか「徘徊にお付き合いしよう」と思える人は少ないのではないでしょうか?
あと、衝撃だったのはデイサービスってクビになるんですね・・・。
そうなると「デイサービスに行っている間に仕事しよう」なんて目論見も崩れてしまうわけです。
このように活動の激しい時期を経て、次は肉体の老いによる『介護』も始まるわけです。
私のところへ「辞めます」と言ってこられたワーカーさん方は、どの段階で辞める決意をされたのかはわからないですし、その限界を感じるのは、人それぞれだと思います。
ただ、私のところで在宅ワークをしていただいている方は、介護における何かしらの段階で、仕事を続けることへの限界を感じておられる方が多い印象です。
介護はとてもお金がかかる!
ついつい子育てと介護を比較してしまうのですが、お金に関していうと子育ては手厚く補助があるのだな、と思ってしまいます。
わかりやすいところで児童手当がありますね。
そのほかにも中学生まで医療費が無料という市町村も多いですし、子供にかかるお金の支援は多いように思います。
介護の場合、サービスに対する補助がでる場合もあるようですが、すべてに当てはまるわけではないようです。
また「デイサービス」や「ショートステイ」といったサービスも利用するにはお金がかかります。
介護認定の等級が上がれば上がるほど利用料金が高くなるので、自分の手に負えなくなるほど、お金も必要になるというわけです。
グループホームに入るとすると、東京で1Rの部屋を借りるくらいの金額がかかることも。
HPには「家賃3万円」という案内があるのですが、それに「〇〇費」というものがどんどん追加され、そのくらいの金額になるようです。
どうやらこれでも安いほうのようですが・・・。
しかし、その金額をどこから出すか、ということですよね。
介護される本人が収入なり貯金があればいいのですが、もしまだ住宅ローンが残っていて、その多くが年金でまかなわれているとしたら?
その住宅には配偶者や子が住んでいて、処分するわけにもいかないとしたら?
子や孫がその金額を負担する、もしくは自力で介護することを選択しなければならなくなってしまうのです。
配偶者や子供の都合で自宅介護ができないとなると、施設に入るためのお金を用立てなければなりません。
在宅ワークで例えば20万円稼ごうとなると、結構な仕事をする必要があります。
今まで会社でしていた仕事をテレワークという方法に変えてもらうのであれば、可能な金額かもしれません。
しかし一から仕事をするとして、いきなりこの金額を稼ごうというのはなかなか難しいでしょう。
さらに結構がっつりと仕事をしなければならず、介護の片手間というわけにはいかないかもしれません。
今まで在宅ワークをしてきた人でも、その収入はすべて貯蓄に回していたのであれば、介護費用に回すことになっても、さほど慌てないかもしれません。
しかし、そのような方はなかなか少ないのではないでしょうか?
子供の習い事の費用だったり、住宅ローンの返済に充てていたり。
そのような場合は、どこかを削らなければいけなくなってしまいますよね。
稼いだ金額をすべて介護に費やすことができればよいですが、やはり家計の一部を圧迫しそうです。
老後のためにいったいいくらの貯金があればよいかのでしょう?
何千万円、といった金額を見ると、うそでしょ?と思っていたのですが、もし施設への入居が月20万円だった場合
20万円×12か月×5年=1200万円
これに医療費などもプラスされていくわけですからね。
さらに、5年で必ず終了するとは限らないわけで、10年以上続くこともあります。
そうなると、あながち間違った数字でもないのかな、と思います。
離職をして介護者と同居し合間で在宅ワークをしよう、と考えても、介護のスキマ時間はあまりない、というのは前述のとおりです。
『在宅ワークであれば、自宅で介護をしながら報酬を得ることもできる』
そのような記事もよく見かけるのですが、それはケースバイケースとしか言えないのではないか、と思うのです。
在宅ワークだからこその落とし穴!
仕事を辞めて親の介護をする。
最近はそう珍しくない話かもしれません。
しかし、前述のとおり介護にはお金がかかるので、親の介護費用、そして自分の老後のための資金が確保できていないと、仕事を辞めるという選択が必ずしも正しいとは限りません。
私は「在宅ワークなので、いざとなればどこでも仕事をできる」と思っていました。
実際どこでも仕事ができるわけなので、もし親の介護をしなければならないとき、地元へ戻るという選択肢もあるわけなのですが。
しかし、そのように仕事が確保できているからといって、地元へ帰ることが介護をする上ではプラスにならないこともあるようです。
地域によって違うとは思いますが、希望したときすぐにサービスを受けたり、施設に入ることができるとは限らないようです。
その際、申し込んだ順ではなく、やはり緊急性の高い順に利用可能となります。
緊急性が高いというのは、誰も介護をする人がいない、という状況です。
つまり、「在宅ワークなので家にいる」ということが、サービスや施設の利用を受けることを遠ざけてしまうことになってしまうかもしれません。
認知症が進行していくと、やはり自分の力だけで介護するというのは難しくなってきます。
本当に助けが必要なのに、在宅で介護できる人がいるという理由で後回しとなった場合、
介護に手がとられる→在宅ワークの時間がなくなる→収入が減る→介護サービスが利用しにくくなる→介護に手がとられる・・・
という悪循環になってしまう可能性もあるのです。
もちろん近親者が介護するのがよい場合もありますが、離れたところから金銭的支援をすることによって、サービスを利用したり、施設に入ってもらったりするほうがよいこともあるようです。
周囲の環境や自治体の状況にもよるので、自治体の介護関連の相談ができるところで相談してから、どうするのがベストな選択か考えましょう。
介護しながら在宅ワークは必ずできるわけではない!
「在宅ワークはどこででも仕事できるから、メリットが多い!」と思っていました。
もちろん今でも思っているのですが「最強!」というわけではないと思うのです。
待機児童のいる地域では、在宅ワークは入園することが難しいです。
しかし、保育園に入園できない場合は「外で働けないから在宅ワークをしよう」というきっかけのほうが多いように思います。
しかし介護の場合は、すでにそれなりの仕事をしていることが多いと思われます。
その仕事を在宅ワークに切り替えるメリットがあるか、ということをよく考えてから選択をしたほうがよいかもしれません。
親がどのくらい資金を持っているのか、兄弟などでどれくらい負担しあうのか、少々話しにくい話をしなければなりませんが、そのことを知った上で、自分はどれくらいの収入があればよいのか、ということを考える必要があります。
介護の難しいところは「この状況がいつまで続くのか」ということでしょう。
子育ては入学の年などの決まっているため、お金の計画も立てやすいですが、介護はいつどのような状況になるか予測がつきません。
だからこそ、安易に在宅ワークで自宅介護という選択も危険と思うのです。
無職で金銭的に厳しい思いをしながら介護するのであれば、在宅ワークという選択はぜひ知っておいてほしいと思います。
しかし様々な情報を入れながら、介護される方もする方も一番いいのは何か、ということで仕事の在り方を選択したほうがよい、と考えさせられました。
【ライターおやかた】