せこい=しんどい=だるい?
ネットニュースで、徳島県の方言「せこい」が、別の地域で誤解されてしまうことがあると載っていました。
徳島県では「せこい」という言葉を「しんどい」「調子が悪い」という意味で使いますが、これは徳島県以外の多くの地域では「ケチ」や「ずるい」といった、あまり良くない意味で使われていて、そのせいで誤解されることがあるんですね。
私は生まれが徳島県でよく帰省しており、この「せこい」が日常的に使われる様子も知っています。
「なんか朝からせこいんじゃ」
「せきがでてせこいわ~」
などとおじやおば・いとこたちが会話していますし、私の母も日常的に使っています。
しかし関西に住む私は、この「せこい」を使うと誤解されてしまうということがわかっているため、日常生活では「しんどい」を使うようにしているんですね。
しかしもっと視野を広げてみると、この「しんどい」も、標準的に使うというわけではないようです。
日本中どこに行っても「しんどい」を誤解されないように使うには、「だるい」などにさらに変換することが必要なのかもしれませんね。
この「しんどい」は、意識していないとつい使ってしまう私。
実際に在宅ワークで執筆の仕事をしていて「しんどい時に」などと使ってしまい、校正の方から指摘がきたことがありました。
その時に「しんどいは一般的に使いませんので」という注釈を見て、初めて「そうなのか!」と学んだ次第です。
このように文章に関わる仕事をしているときは「この言葉ははたして一般的なのか?」と考えながら執筆しないといけないな~と思います。
しかしそれとは別として「しんどい」「せこい」には、その言葉でしか表せない微妙なニュアンスがあるのになぁ…とも思います。
「せこい」は、厳密にいうと「しんどい」とも「だるい」「つらい」とも決してイコールではないのです。
そしてそういう徳島弁は、ほかにもいろいろあります。
「しわしわいきよ」→ゆっくり気を付けて行ってらっしゃい
「まけまけいっぱい」→こぼれるくらいまんたん
「そっちかいて」→そっちを持ちあげてください
「ぼいぼいちゃん」→よその人
「どくれとる」→ふてくされている
横につけたのは私なりの意訳ですが、これらの微妙なニュアンスをあますところなく表せる標準語はなかなかないように思います。
どこででも通じる一般的な言葉に直すと、言葉の持つ生き生きとした躍動感が少し薄れてしまうようで、残念な思いもあるのが本当のところです。
万人受けするけれど、どこで食べても同じ味のファミレスの料理のような味気なさを、仕事をしながらたまに感じている私。
もし方言OKの執筆のお仕事があったら、いまよりも5割増しで躍動感あふれる記事が書けるのにな~と思いますね(笑)
【macky215】