自分だけの収入
わたしはマンションに住んでいるのですが、よく内職と思しき商品の段ボールの集配をしている場面を目撃します。
保育園や幼稚園児を持つ人が多いようで、ママたちが複数で造花やオマケつけのような内職をしているのでしょう。
彼女たちはグループでお仕事をしながら、たまにみんなでランチに行ったりしているとそのうちのひとりから聞きました。
収入は数千円で、月にランチに1~2回、そして子どもの通信教育の代金になるくらいだと話してくれましたね。
誰かの家に集まって、みんなでワイワイ話をしながら内職するというのも、とても楽しそうだなと感じました。
わたしの子どもが幼稚園児だったころにも、そのようなグループ内職をしている人たちがいました。
それから10年ほどの月日が流れ、彼女たちはもうグループで内職をしていないようです。
それぞれ子どもが中高生になり、月に数千円ではやっていけないと思い始めたのかもしれません。
今ではパン屋さんで働いている人、家電量販店で働いている人などさまざまです。
子どもがある程度育ってくると、家で面倒を見なくても済むようになっていき、外でお仕事ができるようになるんですね。
子どもの成長とともに、お仕事の形態が変わっていくというのは面白いです。
小さな子どもを持つママたちの内職は、楽しく情報交換できる場ですが、もうひとつ大事な役割を持っていると思います。
それは社会との小さな接点。
専業主婦にとって、子どもが生まれて仕事から離れている数年間は、いわば社会から遠く離れて自宅のみで子どもと生活することになります。
いったん離れてしまった社会とのつながりを、もう一度繋ぎなおすのが内職なんですよね。
数千円でも自分だけの収入があるということは、本当にうれしいんです。
夫の収入だけで生活し、そこからやりくりしてお小遣いをもらうということとは、また違うんですね。
自分の稼いだお金でランチに行くという彼女たちは、本当に楽しそうでした。
のちにどんな仕事をするようになったとしても、ママたちはみんなそこから社会との接点を繋ぎなおしているんだなと思います。
わたしは内職ではなく、深夜のレストラン勤務から仕事を再開しましたが、気持ちは彼女たちとまったく同じでした。
純粋に、妻でもなく母でもなく「〇〇さん」と呼ばれることがうれしかったですね。
そして自分の銀行口座に入ってくるお給料も。
あのときの気持ちが、その後の自分の再キャリア構築の原点だなあと、懐かしく思い出しています。
【macky215】